SONYのモニターイヤホン「MDR-EX800ST」をミックス作業などで数年使ってみた感想 | digitalelf

SONYのモニターイヤホン「MDR-EX800ST」をミックス作業などで数年使ってみた感想

2021年3月24日Blog,音楽制作ネタMDR-EX800ST,SONY,イヤフォン,レビュー

今回は、何時も楽曲制作で活用しているSONYのモニターイヤホン「」のレビューです。

かなり長いこと使っているので、気付いた点や欠点などまとめてみたいと思います。

 

SONYのモニターイヤホン「MDR-EX800ST」の音や装着感は?

SONYのモニターイヤホン「」の音は、SONYの有名なモニターヘッドホン「」と同じ趣向で素直で味付けのない音です。

レコーディングスタジオなどによく置いてあるので、音楽制作している人だと、「あ〜、あの音か〜」と分かるかと思いますが、モロにあの音です。

SONY 密閉型スタジオモニターヘッドホン MDR-CD900ST
SONY 密閉型スタジオモニターヘッドホン MDR-CD900ST

 

 

装着感は慣れてしまえば問題ないですが、初めは着けるのに戸惑うぐらい取り回しは悪いです。初めは装着するのにえらい時間がかかる事でしょう。

 

ただ、使ってるうちに自分の耳に合うイヤーピース、使っていくうちに柔らかくなっていく耳掛け状の部分、この辺りがしっくりくる頃、フィット感はかなり良くなります。

耳からは外れ難くなり、それでいて固定されている感が少なく、使い込んでいくうちに着けている事を忘れるくらいのフィット感になってきます。

 

音楽のジャンルは問わずと言った感じです。

ほぼどんなジャンルでも違和感なく聞こえる、そんなバランスです。

 

リスニングや単純に音楽再生を楽しむ、いつも聞いてる音楽をスマホなどで聞く用途だと、人によっては物足りないかもしれません。

正直、単純に音楽を聴くだけの用途だと、かなりツマラナイ音です💦

特に味付けしていない音が素直になるので、低音の迫力の足りなさや高音部分の若干引っ込んだ感じ、中音部の艶を感じないのっぺりした音など。リスニング用途ではやはり民生用の音楽を楽しむ為に設計された他のモデルを選択する方が良いです。

 

ところが、音楽制作者側、楽曲編集している側からするとこの味付けしてない『素』の音、というのが重要になってきます。

 

例えば、初めから低音ゴリゴリのヘッドフォン、イヤフォンで楽曲をミックスするとどうなるか。

低音ゴリゴリで気持ちよくミックスすると、他のイヤフォンやヘッドフォンで聴くと間違いなく低音スカスカなミックスになりやすいです。

初めから低音をブーストされて足された音でミックスしているので、そうなってしまうんですね。
そして、低音ブーストされているイヤフォンの場合だと低音部分の輪郭がぼやけて、非常にミックスし難くなります。

 

 

そこで重宝されるのが、味付けされていない音が出るスタジオモニター用のイヤフォンやヘッドフォンという事になります。

 

要するに、「」は音楽を聴いて楽しむ用途には向かないが、音楽を制作する人にはこれ以上ないタイプのモニター用イヤフォンという事です。

 

他のメーカーでもモニター用のイヤフォンは出ていますが、この辺は音の好みの問題があります。

自分の場合はリスニング用のイヤフォンもSONYの音が好きなので、このシリーズが生産される限りは「」一択です。

 

▲ちなみに出かける時はSONY「MDR-EX650」を好んで使ってます。

SONY「MDR-EX650」は結構安売りすることが多くて、何回か購入してますが、コスパと低音重視なイヤフォンです。音はその人の好みだと思いますが、高音、中音は意外と普通で耳に痛くない類の音、とにかく低音がブリンブリン鳴るやつです。

 

 

SONYのモニターイヤホン「MDR-EX800ST」で感じたデメリット

インナーイヤー型と耳掛けヘッドフォンの良いとこ取りみたいな形状の「」ですが、移動中などキチンと収納しないととにかくからまりやすいです。
慣れるまで装着する際も手間取ってしまいます。

ケーブルの長さも普通の民生用のイヤフォンと比べると長めになっています。

 

初めのうちは装着感もイヤーチップ、イヤーピース次第では非常に圧迫感を感じます。

耳掛けタイプの特殊な形状のせいもあり、とにかくケーブルが絡まりやすいです。せめて絡まりにくいタイプのケーブルだとよかったなぁ、と何度も思いました。

普段絡まりにくいイヤフォンを使っていたり、絡まり防止のイヤフォンに慣れている人には、取り回し最悪のケーブルと形状でしょう💦

購入時のパッケージも業務用ということもあり、面白みのない真っ白の箱のみです💦

 

 

 

結局「MDR-EX800ST」はどうなのか?

結論から言うと、SONYの「」は『買って良かった』です!

と言うか既に2個目の購入です。(一個は別の制作場所に置きっ放し)

 

自分の場合、音楽制作の環境の都合で、編集作業中はほぼヘッドフォンかイヤフォンで作業しています。

以前はAKGのモニターヘッドフォンをメインに編集作業をしていたのですが、ほぼ一日中装着しているのでどうしても耳の周りが気触れてしまいます。肌が弱いのもあるのですが。

 

そう言ったわけで、肌にケーブル類が触れないタイプの、半耳掛け形状の「」は最適でした。

出音もSONYのモニターヘッドホン「」とかなり酷似した音。イヤーピースを工夫する事で自分の耳にも問題なくフィットして、耐久性も業務用なので抜群。

かなり荒い使い方をしている方だと思いますが、数年経った今でも音も変わる事なく、問題なく活用しています。

 

 

今までシュアーやAKG、オーディオテクニカなどのモニター用イヤフォンのカテゴリーに属するイヤフォンを色々買っては試していましたが、どれも何処か色付けされている感がありました。

特に「」は低音〜超低音の聞き分けに重宝します。

 

シュアーとか他のメーカーのはどうしても低音部が不明瞭というか、篭った感じがします。モニター用として、聞いていて気持ち良い低音よりも、出音や現在鳴らしている音を正確に再現してくれる確実な音を聞きたいわけです。

その点は、有名なSONYのモニターヘッドホン「」と同じ趣向で、素の音というかほぼ原音に近い音を聞く感じです。

 

普段音楽を聞くようなリスニング用途としては面白くない音だけど、素直な音。味付けしていない正確な音、というのが体感できると思います。

 

この辺は、マスタリングのスタジオでお世話にりました「音響スタッフHITSTUDIO」の鶴羽さんも、この「MDR-EX800ST」を試聴されていた時に同じような事をおっしゃっていました。

 

音楽制作用途に特化した、というかそのために開発された「」ですが、特にパソコンを使って楽曲制作する方には特にオススメです。

 

自分の場合、楽曲のミックスはモニター用のスピーカー、小型のPCスピーカー、モニター用ヘッドフォン、モニター用イヤフォン、そして使用されてる方が多いiPhoneの付属イヤフォンで行っています。

色々なもので聞いてみて納得のいく音のバランスが取れるまで、試行錯誤しています。

 

同じように色々なモニター環境で作業されている方は特にこの「」はオススメですよ!

 

 

 

サウンドデモ

Artificial Intelligence / drum’n’bass remix [Remaster ver.]

かなり以前に作った女性ボーカルのサンプルを元に制作した、ドラムンベースです。

 

初期の制作から編集、ミックス、そしてマスタリング専門のスタジオでのエンジニアさんと共同でリミックス。

それのリスニングと最終チェックを全て「」で行なっています。

 

ヘッドフォンでのチェックはAKGのスタジオモニターで数回行った程度です。

 

 

関連ページ

> 「マスタリングのプロ」にお気に入りの自作曲をお願いしてみた結果は? – d-elf.com

 

SONYのモニターイヤホン「MDR-EX800ST」を使用されている方々の感想など

桐谷ヨウさんのブログのレビューや、

Yuichiro Suzukiさんのレビュー、

こちらのブログなどで詳しくレポートされています。

 

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